トリニダート遺跡①
兵どもの夢のあと
南米の宣教の歴史ってあまり知らない。
日本の歴史すらあやしいのに、パラグアイの歴史となるともう手付かず。
でも記憶のフックがあった。
ロバート・デニーロ主演の「ミッション」という映画だ。
滝に流される宣教師の画は鮮明にのこっている。
改めてこのミッションを観てからパラグアイに行った。
大人になって観ると違う視点で見れるから面白い。
イエズス会は理想郷を求めて1606年にはパラグアイへ宣教のために渡った。
そして1707年には30の教化村と10万人のグアラニー人が共に過ごす共同体を造りあげ、100年の泰平を築いた。
そこでは住民はみな平等で食べ物や財産を分け合い、楽器が奏でられていた。
理想郷は完成したと 言ってもいいだろう。
それならば成功だろう。
けれども、地上において永遠はない。
イエズス会は、奴隷化を進めようとするポルトガルと対峙し、グアラニー人と共に戦うことを選択する。
国と戦うのに勝算などはなかっただろう。
敗者の矜持ではなく、理想を抱くならばそれでも戦わなければならない時がある。
遺跡はそうした事柄を教えてくれた。
いまは鳥の理想郷。